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Packaging Cell

Western blottingや免疫染色の成否が抗体に依存するようにウイルス実験の成否はパッケージング細胞に依存すると言っても過言ではありません。
どんなに実験を繰り返してもパッケージング細胞に問題があれば実験は徒労に終わる。

2000年に医科研の北村先生の研究室が作製したPlat細胞はPhoenix細胞に比して数ヶ月間安定したタイターを維持することが知られていますが、これはウイルス構成遺伝子にIRESを介して薬剤選択マーカーを連結することで、薬剤選択下で安定したウイルス構成遺伝子の発現を可能にしたことで達成された。
けれど薬剤選択を続けていても数ヶ月後にタイターは必ず落ちる。タイターの落ちた細胞を使っている以上は他の条件がどんなに適切であっても実験は徒労になる。

ウイルス実験において最も重要なことは若いパッケージング細胞を使うことだというのが僕の結論です。他の条件としてはウイルス感染後に短時間で抗生剤を含まない培地に交換することで薬剤選択後の生存率は抜群に上昇することを確認した。トランスフェクション試薬としてFugeneを用いる場合は添付文書にあるとおり試薬とDNAの量比が感染効率を劇的に変えるので、実験前にその評価をすることは必須です。細胞によっても違うと思いますが、Lipofectamine2000が感染効率を改善する印象はなく、トランスフェクションするDNA量が少ないFugeneの方が優れていると思います。発現ベクターの種類によって感染効率がかなり異なるのはプロモーターの違いよるものと思われます。現在レトロウイルスの一過性産生に一般的に用いられている293細胞は増殖が比較的早いため、トランスフェクション時の細胞密度はそれほど高くなくても感染効率を低下させることはない。またトランスフェクション後に培地交換をしても感染効率にはほとんど影響しないことも確認した。

癌細胞株であれば比較的容易にウイルス実験は成功しますが、正常細胞ではこれらの条件が実験の成否を左右する。

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Death or Cancer

Nature Genetics 28, 266 – 271 (2001)
Genetic interactions between tumor suppressors Brca1 and p53 in apoptosis, cell cycle and tumorigenesis

Brca1Δ11/Δ11マウスはDNA damage反応による広範なアポトーシスにより妊娠後期に胎生致死になりますが、p53 ホモ欠損により胎生致死を免れる一方で乳腺腫瘍などの癌が生じることが知られています。
今月初めの癌学会で国立長寿医療センターの本山先生の研究グループはBrca1Δ11/Δ11マウスがChk2欠損によりDNA damage反応が起こるにも関わらずp53依存性アポトーシスが起こらず、結果としてリンパ腫や乳腺腫瘍などの発癌が認められることを報告しました。しかしながらこの発癌表現型はp53欠損のそれに比して弱いことから、DNA damageによる発癌過程にはp53によるアポトーシス以外の腫瘍抑制機序があることを想定してsenescenceに着眼した研究を進めています。

Chk2欠損Brca1Δ11/Δ11マウスを用いたvitroとvivoの実験により、結論としてDNA damage反応によるsenescenceはChk2非依存的であり、ATM-Chk2非依存性のp53によるDNA damage induced senescenceが腫瘍抑制機序に機能していると報告しています。

実験ではDNA damage signalとして放射線を用いていて、急性のDNA damage反応によるアポトーシスが早期の発癌抑制に働き、senescenceは遅延性の発癌抑制に働くというモデルを示していました。