文科省のゲノムネットワークプロジェクトの一環として当研究室には1万8千を超えるヒト遺伝子に対するshRNAライブラリーが−80℃の冷凍庫に存在します。
プラスミドの状態で保存されているだけでなく、大腸菌のグリセロールストックとしても保存されていて、各遺伝子に対応するshRNAが敷き詰められた96wellプレートが何十枚も重ねられています。
プラスミドはpSuper-retroベクターをベースとしているのでレトロウイルスとして用いることができるだけでなく、一部の遺伝子についてはインビトロジェンのpENTRベクターに組み込まれているのでレンチウイルスとしても用いることができます。基本的に配列は1遺伝子につき1種類だけで、配列のデザインはsiDirectに倣っています。
プロジェクトに参加する研究機関はゲノムネットワークコンソーシアムメンバーとしてこのRNAiライブラリーを利用することができます。プロジェクトの中核的研究機関である理研と国立遺伝学研究所の他、東大を始めとして幾つかの研究機関がコンソーシアムを組織しています。RNAiライブラリーの構築は現在も進行中ですが、主な遺伝子については2年程前に利用可能な状態になりました。けれど国家プロジェクトとして多額の予算を投じて構築された貴重なRNAiライブラリーは未だ本邦で輝かしい研究成果を出していないどころか、国内の研究機関に有効活用されていないのが現状かもしれません。
僕はこれまで研究室で唯一このRNAiライブラリーを用いたスクリーニング実験を行ってきました。以前行っていたテロメアの研究も現在行っているOncogene induced senescenceの研究もいずれもこのRNAiライブラリーを用いて実験系をデザインしています。
今続けているスクリーニングを始めてもうすぐ1年が経ちますが、結構苦戦しています。
苦戦しても最終的にPositive Geneが取れればいいですが、ゴミだけでしたら当然論文にはなりません。
先日ゲノムネットの評価会があり、貧弱な研究内容をボスは発表せざるを得ませんでしたが、ボスはこのスクリーニングに少なからぬ期待を抱いています。
隣室の冷凍庫にRNAiライブラリーがあるとても恵まれた環境にありながら、それを有効利用できずに研究を終わらせたくない。
結果を出す。それがPositiveな結果であってもNegativeな結果であっても確かな実験結果を出すことが大切です。