Nature. 2007 Aug 16;448(7155):767-74.
The common biology of cancer and ageing.
1951年の冬、アメリカのJohns Hopkins病院で子宮頸癌と診断された31歳の一人の女性患者から培養細胞の研究は始まったと言えるかもしれません。
その女性患者の子宮頸部から得られた生検検体から世界で最初のヒト不死化培養細胞であるHela細胞が誕生しました。
手術や放射線療法もむなしく診断からわずか8ヶ月で永眠した彼女の命日に、Johns Hopkins大学の研究者Marth Geyはアメリカ国営テレビを通じてヒト不死化細胞の培養に成功したことを発表しました。彼は追悼の意を込めて、その細胞の名を彼女の名であるHenrietta LacksからHela細胞と名付けました。1951年10月のことです。
彼女が亡くなってから50年以上経った現在、Hela細胞は世界中の研究で使われています。31歳の若さで永眠した彼女の細胞は彼女が亡き今も世界中の研究所で生き続け、今日の癌研究に測り知れない貢献をしています。
癌細胞の最たる特徴は不死化かもしれません。
シャーレの培地の中で癌細胞は永遠に増殖します。止まることのない細胞周期、制御を逸脱した増殖機序の解明は癌研究の要といえるかもしれません。
正常な細胞はいずれは老化して増殖が止まりますが、癌細胞は不死化します。
この老化と不死化のメカニズムは現在でも未解明な部分が多い。
「細胞老化と癌化のメカニズム」
それが僕が取り組んでいる研究題目です。