J. Am. Soc. Nephrol. Jun 2007; 18: 1880 – 1888.
IgACE: A Placebo-Controlled, Randomized Trial of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors in Children and Young People with IgA Nephropathy and Moderate Proteinuria
European Community Biomedicine Concerted Action Project [BMH4-97-2487(DG 12-SSMI)]の一環としてIgACE European Collaborative Groupによって行われた前向き研究で、Clinical Trials on Medicines for Children (DEC-NET)にも登録されています。
中等度の蛋白尿を伴うIgA腎症の若年患者を対象にACE阻害薬の効果を検証したPlacebo-Controlled無作為二重盲検試験で、今月のJournal of the American Society of Nephrologyに掲載されました。
対象としたのは腎生検にてIgA腎症と診断された3−35歳の若年者で中等度(1-3.5g/day per 1.73m2)の蛋白尿を示しかつ正常か軽度の腎機能低下(Ccr>50ml/min per 1.73m2)を示す患者です。140/90以上の高血圧を伴う成人やステロイド治療を受けた患者は除外されています。クライテリアを満たし実際の試験対象となったのは9-35歳の患者66人で、用いられたACE阻害薬はベナゼプリルです。
平均35ヶ月のフォローアップデータではACE阻害薬群は偽薬群に比してCcrと蛋白尿いずれも有意な有効性が確認された。蛋白尿はACE阻害薬開始後1年以内に著明に減少することも確認された。
Primary end pointとされたのはCcr:30%以上の腎機能増悪を示した場合で、偽薬群では5/34人であったのに対してACE阻害薬群では1/32人だった。
Secondary end pointとされたのは二つあり、一つはCcr:30%以上の腎機能増悪を示すかあるいは3.5g/day per 1.73m2以上までの蛋白尿を示した場合であり、この場合ACE阻害薬群では1/32人に対して偽薬群では9/34人と明らかな差が認められた。またCox解析によりACE阻害薬は独立した予後規定因子であることが確認された他、性別、年齢、血圧等の因子は腎障害の進行と相関が認められなかった。
もう一つのSecondary end pointは6ヶ月以上にわたり0.5g/day per 1.73m2未満の部分的蛋白尿寛解を示すか160mg/day per 1.73m2未満の蛋白尿完全寛解を示した場合であり、この場合部分的蛋白尿寛解はACE阻害薬群では13/32人に対して偽薬群では3/34人、完全蛋白尿寛解はACE阻害薬群では12/32人に対して偽薬群では0/34人となり、いずれにおいてもACE阻害薬の有効性が確認された。
Scr≦1.5 mg/dlかつ蛋白尿≧0.5 g/dのIgA腎症の成人患者を対象にした前向き無作為比較試験は過去にも行われており、血清Cre値と尿蛋白量をエンドポイントとしてACE阻害薬の有効性は確認されている[J Am Soc Nephrol 14: 1578-1583, 2003]。
ステロイド治療と同様にIgA腎症に対するACE阻害薬の有効性は確立されつつある。