Archive for March, 2007

Runner’s anemia

March 30, 2007

Eur J Gastroenterol Hepatol. 2001 Sep;13(9):1089-94
The role of gastrointestinal endoscopy in long-distance runners with gastrointestinal symptoms

Int J Sports Med. 1996 Oct;17(7):473-9
Iron deficiency in distance runners. A reinvestigation using Fe-labelling and non-invasive liver iron quantification.

Dig Dis Sci. 1990 Feb;35(2):276-9
Gastrointestinal bleeding during an ultramarathon

Scand J Gastroenterol. 1986 May;21(4):493-7
Gastrointestinal bleeding in marathon runners.

Ann Intern Med. 1984 Jun;100(6):843-5
Gastrointestinal blood loss and anemia in runners

明らかな鉄欠乏性貧血があるにも関わらず、原因の特定が困難な症例を経験することがあります。
鉄欠乏性貧血の原因は多いですが、マラソンランナーのような長距離走選手に認められるという論文が古くから報告されています。
長距離ランナーの場合、他の競技と異なりその原因として消化管出血が知られています。その機序に関する論文は乏しいですが、血液生化学的検査、便潜血検査、消化管内視鏡検査、アイソトープによる鉄代謝検査による評価から、原因として消化管出血があることは確かなようです。

Culture

March 27, 2007

Cultureの和訳は「文化」であり「培養」でもあります。
人々が違うと文化が異なるように、細胞の種類が異なると適当な培地も異なります。
MEMやDMEMは多くの種類の細胞を培養することができるユニバーサル培地のような印象を持つかもしれませんが、その理想的な培地組成を作るために長い経験的実験の歴史があったことは想像に難くありません。

ニューヨークのような多種多彩な人々が生活する多民族都市はMEMやDMEMに例えることができるかもしれません。けれどすべての人々がニューヨークになじめるとは限りません。たとえ生活できていても周りの環境から様々なストレスを受けている人々もいることでしょう。

僕と同じ研究グループに癌幹細胞の単離を試みている学生がいますが、癌検体から腫瘍細胞を初代培養することだけでも培地の組成がいかに重要かということを伺うことができます。癌幹細胞研究はまだ黎明期にあるので、多くの試行錯誤が必要とされるとても困難な実験です。

癌の初代培養はともかく、最近まで僕は正常ヒト線維芽細胞の培養に難渋していました。
他の人の調整したMEMでは元気に育つのに、なぜか僕が作ったMEMだと育たないで死んでしまう。
初めは加えたグルタミンがいけなかったのかと思い、作り直しましたがやっぱり育たない。
最終的に原因は粉状のMEMを水で溶解する時間が短かったためだとわかりました。
以前は10分間くらいマグネットスターラーでかき混ぜてからオートクレーブしていましたが、その時間を長くしてからオートクレーブした結果、元気に育つようになりました。その細胞の培養に必要とされるアミノ酸か何かが溶解に時間がかかるものだったのだろうかと今は思っています。

興味深いことに以前作ったMEMでは正常ヒト線維芽細胞は育ちませんが、正常マウス線維芽細胞は通常通り育ちます。同じ線維芽細胞でもヒト細胞はマウス細胞より栄養要求性が高いのか、培養条件が厳しいようです。

比較的培養しやすいHela細胞も以前作った培地で問題なく培養できました。癌細胞はある程度いい加減な培地でも育ちそうな印象があります。けれどこれまで僕が作った培地で癌細胞の培養ができなかったことはないものの、何らかのストレスを受けて育っていたのかもしれません。

シャーレに広がる細胞は決してモノクローナルな集団ではありません。継代を重ねるにつれて細胞は周囲からストレスを受けてヘテロジェネティックになっていきます。それを十分認識した上で実験科学者は結果を評価する必要があります。
Hela細胞であれば世界中どこでも同じ実験結果が出るとは限りません。培養が容易である反面、長期間の培養後には起こした時とはかなり異なる細胞に変化している可能性があります。育てばいいというのではなく、周りの環境とそれに適応して選択される状況を理解することは細胞培養だけでなく、人間社会でも必要な認識かもしれません。

細胞培養でも人間社会でも文化を尊重しましょう。

Alcoholic liver disease

March 26, 2007

Am J Gastroenterol. 1998 Nov;93(11):2022-36
Alcoholic liver disease: proposed recommendations for the American College of Gastroenterology

アルコール性肝障害に対する特異的治療法は乏しい。
1998年に発表された上記ガイドラインは現在もアルコール性肝障害に対する治療指針として機能しています。
これまで試みられた様々な治療法の中でエビデンスに耐える治療法として残ったのは禁酒(Grade1A)と栄養補給(Grade1B)のみであり、その他の薬物療法のroutine useは奨励されていません。

アルコール性肝炎についてはDiscriminant function>32あるいは肝性脳症がある重症症例に対してステロイドの使用が唯一特異的薬物治療法として奨励されています(Grade1B)。具体的にはプレドニゾロン40mg/日を4週間投与し、その後漸減するとしています。ステロイドはあくまでプレドニゾロンを奨励していて、肝でプレドニゾロンに変換される必要があるプレドニゾンではありません。
ステロイド治療が適さない消化管出血、膵炎、腎不全、あるいは活動性の感染症を合併した患者に対しての有効性は確認されていません。
アルコール性肝炎に対しても栄養補給はGrade1BのRecommendationがされています。

Driver or Passenger

March 26, 2007

Nature. 2007 Mar 8;446(7132):153-8
Patterns of somatic mutation in human cancer genomes

「生命はなぜリン酸化を選択したか」
昔どこかの文章で目についたこの文が今でも僕の記憶に強く残っている。
生物界のエネルギー代謝の中心がATP-ADP系であることを考えると、地球の太古の生命はリン酸化と脱リン酸化をエネルギー代謝に選んだといえるかもしれない。

生命科学分野でリン酸化酵素(kinase)は細胞周期やシグナル伝達に重要な役割を果たしていて、その変異と癌化の関係はよく知られています。

今月初めのNatureに掲載された上記論文は518種類のリン酸化酵素遺伝子のcoding exonとsplice junction領域を対象に大規模なシークエンスを行い、癌のsomatic mutationをスクリーニングしました。
対象とした癌サンプルは様々な種類の癌検体169個、初代培養2個、不死化癌細胞株39個の計210サンプルで、シークエンスした領域は計274MBに渡ります。

このような大規模シークエンスによる癌変異検索はこれに先だち昨年10月のScienceに発表されていて、その論文では乳癌と大腸癌それぞれ11サンプルを対象にして13023個の遺伝子を対象に大規模シークエンスを行っています[Science 13 October 2006 314: 268-274]。

大規模なプロジェクトは単なる癌遺伝子のスクリーニングが目的ではありません。
癌の種類によってもまた同じ種類の癌であっても変異の数が大きく異なることは予想された結果かもしれませんが、それを科学的に評価したことにこの論文の一つの価値があると思います。
一言に変異と言っても様々な変異があり、その中で実際に癌化に寄与する変異がどれほどあるかを評価することは研究者にとって関心があります。
アミノ酸が変わらない(synonymous)変異と変わる(non-synonymous)変異では機能的および構造的変化を及ぼすnon-synonymous変異に生物学的選択が発揮されるという前提のもと、non-synonymous/synonymousの比が偶然に期待されるそれに比較して高い場合をdriver mutationとして、そうではない場合をpassanger mutationとした。

リン酸化酵素518種類のcoding exonをシークエンスした結果確認された921ベースの置換変異のうち、763はpassanger mutationであり、158がdriver mutationであったことから、癌ゲノムのシークエンスを通して見つかった変異の大部分が実際には発癌に関係しないpassanger mutationであることがわかり、またdriver mutationは119遺伝子に相当すると報告しています。

Dietary fiber intake

March 9, 2007

Gastroenterology 2004;126:1463-1473
American Gastroenterological Association Technical Review on the Diagnosis and Treatment of Hemorrhoids

Dis Colon Rectum. 2005 Feb;48(2):189-94
Practice parameters for the management of hemorrhoids (revised)

痔核のガイドラインです。
前者は2004年2月にAGAが発表したもので、後者は2005年2月にThe American Society of Colon and Rectal Surgeonsが発表したものです。

食物繊維の摂取は保存的治療の基本として位置づけられています。
食物繊維の摂取によって出血が有意に減少したというスタディはこれまでに幾つか報告されています[Cochrane Database Syst Rev 2005: CD004649、HepatoGastroenterology 1996; 43:1504、Dis Colon Rectum 1982; 25:454]

psylliumという食物繊維が論文でも使われていて、日本でも厚労省の特定保健食品として日清食品からサイリウムヌードルなどの各種食品が販売されています。
今日近くのドラッグストアでその日清「サイリウムヌードル」を見つけたので早速買ってみました。エビデンスがある1個158円のカップラーメンです。痔を患っている方はこのカップラーメンで症状が良くなるかもしれません。サイリウムドリンクやサイリウムコーンフレークもあるようです。

保存的治療に抵抗性の内痔核(Grade Ⅰ-Ⅲ)に対する非外科的治療としてRubber band ligationや凝固療法や硬化療法などが知られていますが、現在のところRubber band ligationが最も優れているとされています。

Pneumovax

March 2, 2007

Clin Infect Dis. 2006 Oct 1;43(7):860-8
Protective effects of the 23-valent pneumococcal polysaccharide vaccine in the elderly population: the EVAN-65 study

成人市中肺炎の主要な原因菌である肺炎球菌の感染を抑えることは大変重要です。
現在の成人に対する肺炎球菌ワクチンは23種類の肺炎球菌莢膜ポリサッカライド抗原を混合したPPV23と呼ばれるワクチンです。Merckからニューモバックスの製品名で市販されていて、日本では萬有製薬が製造販売しています。

PPV23に含まれる23種類の肺炎球菌セロタイプは侵襲的疾患の原因となる肺炎球菌セロタイプの85-90%をカバーするとされていますが、これまで肺炎に対するその効果は疑問とされてきました。

昨年10月に報告された上記論文は65歳以上の一般住民を対象にした前向きコホート研究で、2002年1月から2005年4月までの間に65歳以上の高齢者11241人を対象に肺炎球菌ワクチン(PPV23)の効果を検証しました。
その結果、肺炎による入院、肺炎罹患率、肺炎球菌性肺炎罹患率、肺炎による死亡をいずれも減少させたと報告しています。

しかしながらこれまでのスタディを鑑みると[Lancet. 1998 Feb 7;351(9100):399-403、N Engl J Med. 2003 May 1;348(18):1747-55、Clin Infect Dis. 2006 Oct 15;43(8):1004-8]、すべての成人を対象にPPV23を接種する科学的根拠は乏しい。

現在PPV23の接種が奨励されているのは以下のハイリスクグループです。
65歳以上の高齢者、19-64歳の慢性心疾患、慢性肺疾患、糖尿病、アルコール依存症、慢性肝疾患、髄液瘻、蝸牛移植、慢性療養施設のような特殊な環境に住む方、19歳以上のHIV感染者、悪性疾患、慢性腎疾患、ネフローゼ症候群、先天性免疫不全、免疫抑制剤やステロイドの化学療法を受けている患者、脾機能不全患者、臓器あるいは骨髄移植後の方です。(MMWR 2005; 54:1)

肺炎球菌ワクチンは現在日本では2歳以上の脾摘患者以外は保険が適用されていませんが、ハイリスクグループを対象により積極的な接種が必要ではないかと思います。

Cancer research symposium in Tokyo

March 1, 2007

平成18年度 文部科学省 科学研究費補助金 がん研究に係わる特定領域(がん特)の「がん特定領域合同シンポジウム」が先月東京大手町の経団連会館で行われました。
大手町までは地下鉄で10分くらいなので、今日は興味のある演題を聞きに行ってきました。
京都大学医学研究科分子生体統御学講座分子腫瘍学分野の高橋先生の演題「RbとN-rasの遺伝学的関係と癌化」は興味深かった。

Rb-/+マウスにN-rasを追加欠損させると下垂体腺癌の腫瘍は抑制されるのに対して、カルシトニン産生細胞アデノーマでは逆に悪性化することを過去に報告していましたが(Nature Genetics 38, 118-123, 2006)、この時H3K9やp16などのsenescenceマーカーが消失することを免疫組織染色で確認し、その効果が正常N-rasによってレスキューされることをvivoで確認することで、Rb欠損による癌化に対して正常N-rasがsenescenceを介してtumor suppressorとして働いていることを示していました。またこのsenescenceはテロメアindependentであり、OIS(oncogene induced senescence)に似ていることをDNA damageマーカーなどを用いて示していました。

Tumor suppressor geneとして有名なRbの欠損を癌化のinitiationとして位置づけ、正常N-rasがsenescenceを惹起することでTumor suppressorとして働くというシナリオは興味深かった。

一言にRasといってもH-ras, N-ras, K-rasでは働きがかなり異なることはヒト初代培養メラノサイトでも確認されている(Nat Cell Biol. 2006 Oct;8(10):1053-63)。この演題内容もあくまでN-rasの働きであって、MEFを使ったコロニーフォーメーションアッセイではK-rasはsenescenceをレスキューできなかったことも示していました。

このモデルは線維芽細胞やメラノサイトや神経内分泌細胞などの限られた細胞種においてのみ成り立つともおっしゃっていて、OISの機序は組織によって大分異なることが予想される。

この演題の多くはUnpublished Dataであったことからとても興味深かった。

Vector Bank

March 1, 2007

必要なベクターを最初から自分で作製するのは必ずしも簡単ではありません。
時間と労力と費用を考慮すると、DNAバンクから買った方が賢い場合があります。
DNAバンクを研究手段の選択肢に広げることは効率的に研究をするために重要なことだと思います。

日本では理研やJCRBのDNAバンクが有名です。
それらのバンクにない場合、皆さんはどうしますか?

そのベクターをもっているラボにリクエストをすることは一般的かもしれませんが、譲ってくれるという保証がない上にそれらのベクターが「ちゃんとした」ベクターであるという保証がありません。さらにそのベクターについての情報が乏しい場合があります。
正確なベクター配列やORFの位置や制限酵素サイトの情報がなければ、実験がうまくいかない場合に適切なトラブルシューティングができません。何年も前に使われていたベクターを持ち出した場合も同様です。

外国の研究室は日本の研究室よりも提供してくれる情報が乏しい気がするのは僕だけでしょうか。日本の研究者から譲り受ける場合はリクエストしやすいうえに失敗した時に何かと相談しやすい。
リクエストはベクターをもらえばそれで済むというわけではありません。失敗した時のことを考えると、譲与してくれたラボとのコミュニケーションは大切なのです。だからリクエストする場合はもらった後のことをよく考える必要があります。

先日僕はアメリカのAddgeneというNPOからベクターを買いました。
ベクター1つUS$65で決して高くありません。日本に送る場合はTAXを含めてUS$50くらい余計にかかりますが、少なくとも業者から買うよりは安い。
なにより「ちゃんとした」ベクターであるし、きちんとしたベクター情報が載っている。

メールでオーダーを出してからMTAにサインしてFAXを送ってから6日で東京に着きました。
スタブの状態で送られてくるのでそのままLB培地に入れて振れば翌日にはミニプレできるので、FAXを出してから1週間でプラスミドの抽出が可能です。
制限酵素で切って大丈夫そうなのを確認した後、ウイルスを作るためPackaging CellへのTransfectionに取りかかっています。

ベクターの数は豊富ではありませんが、いかに効率的に研究をするかを考えてマテリアルの選択肢を広げることは重要なことだと思います。

Addgene:http://www.addgene.org/pgvec1

他にもお勧めのバンクをご存知の方がいらっしゃいましたら是非教えて下さい。

Ventricular Arrhythmias

March 1, 2007

Circulation. 2006 Sep 5;114(10):e385-484
ACC/AHA/ESC 2006 Guidelines for Management of Patients With Ventricular Arrhythmias and the Prevention of Sudden Cardiac Death: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force and the European Society of Cardiology Committee for Practice Guidelines (writing committee to develop Guidelines for Management of Patients With Ventricular Arrhythmias and the Prevention of Sudden Cardiac Death): developed in collaboration with the European Heart Rhythm Association and the Heart Rhythm Society

昨年9月にACC/AHA/ESCから発表された心室性不整脈のガイドラインです。

Sicilian Gambit分類のKチャネル遮断薬として現在本邦で使用可能な注射薬はニフェカラントのみです。
アミオダロン注射薬はACC/AHA/ESC 2006ガイドラインの中でも大変重要な位置づけがされていますが、本邦ではこれまで内服薬のみが市販されていました。アミオダロン注射薬も承認されるようなので、近く臨床現場に登場するでしょう。

ニフェカラントがアミオダロンの効果をどこまで代用するかはわかりませんが、日本循環器学会誌Circulation Journal(2004)の不整脈治療ガイドラインではDirect current cardioversionに抵抗性の多形性心室頻拍や心室細動に対してニフェカラント静注が記載されています。

ACC/AHA/ESC 2006ガイドラインでは血行動態が安定している持続性単形性心室頻拍に対して、第一選択薬としてプロカインアミド静注がClass2a適応(Evidence B)となっており、リドカイン静注はClass2b適応(Evidence C)となっています。
血行動態が不安定でカウンターショック抵抗性あるいはプロカインアミドや他の薬剤で再発する持続性単形性心室頻拍に対してはアミオダロン静注をClass2a適応(Evidence C)としています。

再発性の多形性心室頻拍で特に虚血が関与している場合はβ遮断薬の静注をClass1適応(Evidence B)としており、QT延長症候群でない限りはアミオダロン静注もClass1適応(Evidence C)となっています。
多形性心室頻拍で特に急性心筋虚血が関与する場合のリドカイン静注はClass2b適応(Evidence C)となっています。

PSVT

March 1, 2007

J Am Coll Cardiol. 2003 Oct 15;42(8):1493-531
ACC/AHA/ESC Guidelines for the Management of Patients With Supraventricular Arrhythmias: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force and the European Society of Cardiology Committee for Practice Guidelines (Writing Committee to Develop Guidelines for the Management of Patients With Supraventricular Arrhythmias)

2003年にACC/AHA/ESAが発表した上室性頻拍のガイドラインです。
2005年にAHAが出版したACLSガイドラインではACLS Tachycardia Algorithmが記載されていて、初期行動として実践的で理解しやすいフローチャートを示しています。
本邦のガイドラインは2004年のCirculation Journalに掲載された「不整脈治療のガイドライン」で各論的な治療方針が示されています。

発作性上室性頻拍(PSVT; paroxysmal supraventricular tachycardia)は決して珍しい不整脈ではありません。
Regular Narrow QRS Tachycardiaに対してACC/AHA/ESCガイドラインとACLSガイドラインでは抗不整脈薬としてまずアデノシンの静注を指示しています。ACLSではアデノシン6mgの急速静注に加えて、1-2分以内に変化がなければさらに2回までの12mg追加静注を指示しています。アデノシンが著効した場合はAVNRTかAVNTである可能性が高く、たとえ不整脈がなくならなくてもアデノシンの反応はAT(atrial tachycardia)、AF(atrial flutter)、junctional tachycardia、sinus tachycardiaの鑑別診断の助けとなります。

ベラパミルやジルチアゼムといったCaチャネル遮断薬も有効ですが、アデノシンのような即効性はなく、鑑別診断の助けとなる情報は得られない。
アデノシンの投与は喘息患者には避け、ジピリダモールやカルバマゼピン服用者に対しては投与量を減量する必要があります。
またPSVTに対する薬物治療の意義はあくまで発作の停止にあり、慢性期は原則アブレーションの適応になります。

ACC/AHA/ESC Guidelines for the Management of Patients With Supraventricular Arrhythmias
http://www.acc.org/qualityandscience/clinical/guidelines/arrhythmias/update_index.htm